を求めていた」
「いじめに遭ったの?」
「そうだ。これは誰もが受ける洗礼なんだ。言葉が違う。服
装が違う。鞄が違う。何でも理由になった。いじめなんても
のは、大人が子どもに教えたことだ。地域でも、職場でも、
大人社会では未だに残っている。弱肉強食の社会が生み
出した産物。しいて言えば人間だからいじめがあるとも言
える」
「人間の本性だと」
「ライオンが獲物をすぐに食べずに、もてあそぶようなとこ
ろがある。いじめている者は遊びのような気持ち。いじめ
香薰治療
られる者はまさに地獄だ。いじめる者や周囲にはこの被害
者の気持が分かっていないのだ
慈善活動」
勝也は、自分の強い言葉に一瞬息をのんだ。
「――あまりの酷(ひど)さに、校庭で決闘をしようと、ナイフ
を持って彼らを呼び出した。先生が来て、30分のにらみ合
いに終わったけど、私は必死だった。それから、彼らのい
じめはなくなったよ。これからも社会からいじめはなくならな
いだろう。いじめをなくす努力も大切だけど、それに耐え、
ときには闘い、周りが支えていくシステムが必要な気がす
る」